2018-03-19

以下のお問合せを頂戴いたしました。

「海外に移住すれば日本では税金が課されないと聞きましたが、本当でしょうか?」

「キャピタルゲイン、インカムゲインが非課税であるシンガポールや香港に移住して、専業投資家として生活していきたいのですが‥」

この疑問の根幹の「税金はどこの国で支払う必要があるのか」について、今回は説明していきたいと思います。

国により異なる納税の考え方

所得税の課税の方法に関しては、国ごとに大きく2つの考え方に基づきます。

属人主義
属地主義 という考え方です。

属人主義は、「人」に「属する」という「主義(すなわち、考え方)」です。
人が何処の国に住んでいるとしても、税金は国籍の国に支払う必要がある、という考え方です。主に、アメリカ、フィリピンで採用されています。

属地主義は、「地」に「属する」という「主義(すなわち、考え方)」です。
国籍と関わりなく、税金は居住している国で支払う必要がある、という考え方です。日本やマレーシアなど多くの国で採用されています。

例えば、アメリカ人は、属人主義の考え方に基づき納税義務が生じますので、シンガポールや香港など税率が低い国に住んでいたとしても、低税率による恩恵を受けることはできません。アメリカに納税する必要があります。

他方、日本人は、属地主義の考え方に基づき納税義務が生じますので、仮にシンガポールや香港など税率の低い国の居住者となれば、低税率による恩恵を受けることができます。

税法上の居住者の定義

税法上の居住者の定義は以下の通りです。

我が国の所得税法では、「居住者」とは、国内に「住所」を有し、又は、現在まで引き続き1年以上「居所」を有する個人をいい、「居住者」以外の個人を「非居住者」と規定しています。
「住所」は、「個人の生活の本拠」をいい、「生活の本拠」かどうかは「客観的事実によって判定する」ことになります。
したがって、「住所」は、その人の生活の中心がどこかで判定されます。
ある人の滞在地が2か国以上にわたる場合に、その住所がどこにあるかを判定するためには、職務内容や契約等を基に「住所の推定」を行うことになります。
「居所」は、「その人の生活の本拠ではないが、その人が現実に居住している場所」とされています。
法人については、本店所在地がどこにあるかにより、内国法人又は外国法人の判定が行われます(これを一般に「本店所在地主義」といいます。)。

引用元:日本国税庁 No.2875 居住者と非居住者の区分

つまり、生活の本拠があり実態を伴ってその国に住んでいていれば、居住者であると考えられます。

住民票を国内から外し(海外転出)、外国に1年の半分(183日)以上滞在していれば、日本の非居住者となり、日本における納税を免れることができると認識している方が多くいらっしゃいます

しかし、税法上の居住者・非居住者の判定は、外国における滞在日数だけで判断されるものではありません。あくまで、生活の「実態」が客観的に判断しえるものなのかということになりますので注意が必要です。

居住者・非居住者の判定については以下もご参照ください。

滞在日数のみによって判断するものでないことから、外国に1年の半分(183日)以上滞在している場合であっても、わが国の居住者となる場合があります。
1年の間に居住地を数か国にわたって転々と移動する、いわゆる「永遠の旅人(Perpetual Traveler, Permanent Traveler)」の場合であっても、その人の生活の本拠がわが国にあれば、わが国の居住者となります。

引用元:日本国税庁 No.2012 居住者・非居住者の判定(複数の滞在地がある人の場合) 一部抜粋

十分な検討と準備が必要

上記のとおり、生活の実態が伴わず、海外転出を届出しただけでは、日本の非居住者として判定されません。また、生活の拠点、投資活動、ビジネスを海外に移行させるには、相応の準備が必要となるでしょう。

その大前提として、低税率の恩恵を受けるためだけの移住ではなく、その国でどのような事業を展開して、どのような成長戦略を描いているのか、を整理した上で移住を計画する必要があると思います。

あくまでも、ビジネスの成長や、投資を実践していく過程で、タックスヘイブン国の税制を上手く活用する、という考え方の優先順位を念頭に置くべきでしょう。

弊社では、非居住者の投資家ネットワークを有しています。実際にはどのようなケースで、居住者・非居住者の判定が必要に迫られるのか、など実務的な調査に基づくアドバイスが可能です。

~この記事の著者~

橘 貴文

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